中⽬⿊のヘアサロン<CASI>のオーナーを務め、美容師として数多くのお客様のヘアを担当する並⽊⼀樹さん。確かな技術⼒とファッション感度をもとに、お客様へ⽇々ヘアスタイルの最善の提案を⾏う傍ら、精⼒的に SNS で⾃⾝のライフスタイルも発信中。洗練されたスタイルとユーモア溢れるキャラクターのギャップには多くのファンが集まる。


▪鏡を通して意識する、⾜元までの抜かりない意識

-並⽊さんは⽇々サロンワークに勤しまれていますが、鏡を通してお客様とバストアップの視点でのコミュニケーションが多いのではと勝⼿ながら思っています。そんな中でも⾜元まで、抜かりないスタイリングをされているその意識の⾼さはどこから来るものなのでしょうか。

並木:基本的には、お客さまと鏡を挟んで対話することが多い仕事なので、お互い上半⾝の印象が強く残りやすい場所ではあります。ただ、鏡を通して意外とお客様は⾜元まで⾒られているので、⾃分⾃⾝に対しても常に全⾝を⾒られているという意識を忘れないようにしていますね。靴が好きなお客様も多いので服の話に繋がりますし、⾃分⾃⾝もその⽇その⽇のコーディネートを考えるときは、ソックスや靴を含めた⾜元までを常に意識して組んでいます。

-⽴ち仕事ということもあり、⼀般的にはスニーカーのほうが楽だと思いますが、レザーシューズも好んで履かれていますよね。

並木:美容室という場所は、お客様が⾝だしなみを整える場所です。特に男性のお客様が⾮常に多い中で、僕⾃⾝が⾝だしなみをちゃんと整えて働くことは⼤事なことだと考えています。

▪異⾊の経歴から辿り着いた、美容師への道


-並⽊さんのこれまでの経歴についても少しお伺いしたいです。学⽣時代から現在に⾄るまで、どのような道を歩まれてきたのでしょうか。

並木:もともと最初から美容師を⽬指していたわけではありませんでした。中学を卒業して⼯業系の 5 年制の⾼専に進んだんです。ロボットに興味があったのと、数学の数式を解くのが好きで、あとは受験科⽬が 3 科⽬で少なかったからという本当に単純な理由です。ただ、⾼専のロボット作りをするような⼈たちは頭が良すぎて、早々に諦めました(笑)。

-そこからどのように美容の世界へ惹かれていったのですか。

並木:⾼専⾃体はすごく⾃由な学校で、スケボーで通学してくるやつがいたり、その当時最先端であった iPod で⾳楽を聴いているやつがいたり、どこかカルチャーが感じられる環境でした。当時は雑誌のスナップ全盛期で、サロンモデルをやらせてもらう機会なども増え、美容師さんと話すうちに、髪型を作る仕事に強く惹かれるようになったんです。そこから普通より 2 年遅れて美容学校へ進みました。

-卒業後は原宿の有名店「BRIDGE」に⼊られたのですね。

並木:はい。当時はアシスタント期間が 5 年半から 6 年というのが当たり前の時代で、今とはだいぶ違いました。そこで 11 年ほど勤めて店⻑まで経験させていただき、⾃分の世界観でお店を作りたいという思いから、独⽴を経て今のお店を構えて現在 6 年⽬になります。

▪鏡を通して意識する、⾜元までの抜かりない意識


-洋服を好きになったきっかけや、今の並⽊さんのスタイルのベースについて教えてください。

並木:学⽣時代のアルバイト先にめちゃくちゃおしゃれな先輩がいたんです。ナンバーナインの T シャツを着てボロボロのデニムにウォレットチェーンを合わせた姿に憧れて、裏原系のストリートファッションにのめり込んでいきました。その後、前職ではオーナーや感度の⾼い先輩たちに展⽰会へ連れて⾏ってもらったりしてその時々の時代の空気感に触れることで今のスタイルにつながる感性が培われた気がします。

-今⽇のコーディネートでも、ウールのタンクトップや和紙混のソックスなど、細かな素材使いにこだわりを感じます。⾜元やソックス選びについては普段どのように考えていらっしゃいますか?

並木:夏場はローファーにカバーソックスを合わせることも多いのですが、あえて⽩パンに⽩の和紙梨地ソックスを合わせてみたら予想外にめちゃくちゃ良かったんです。ドレッシーすぎる⽩ソックスだとやりすぎ感が出てしまいますが、和紙の持つ少し素朴な質感と⾼級感が、ブラウンのローファーやタフなデニムの⾜元に絶妙な抜け感とニュアンスを与えてくれる。素材感をアップデートしていく⾯⽩さを、ソックスひとつで実感しています。

-ソックスは⼤きくカジュアルソックスとドレスソックスに分けられますが、並⽊さんはその境界線をどのように捉えていますか?

並木:世間⼀般では「ドレス⽤」「カジュアル⽤」とソックスを線引きして考えばスニーカーを履く時でも、カジュアルすぎるものだけでなく、少し上品さやセミドレスなニュアンスのあるソックスをあえて合わせてバランスを取るのが好きですね。昔は柄物のソックスで遊んでいた時期もありましたが、今は素材感や絶妙なトーンの組み合わせで、⾜元にさりげない遊びや品を忍ばせるのが気分です。


◼ 並⽊さんのスタイルを彩る 3 ⾜

ここで、並⽊さんが⽇々のスタイリングの⾜元となるシューズをご紹介頂いた。


1. 「J.M. WESTON のコンビローファー」

イベントの時に⾒つけた、シボ感のあるブラウンとスウェードのコンビローファーです。よく⾒るとステッチがピンクになっていて、フレンチな端正な顔⽴ちの中に遊び⼼が効いているような、⼀⽬惚れの⼀⾜でした。⽩パンと⽩の和紙ソックスを合わせた時にも、この靴の持つ絶妙なニュアンスが全体のコーディネートをぐっと引き⽴ててくれます。


2.「POST PRODUCTION のメッシュシューズ」

2 年ほど前に購⼊したポストプロダクションのメッシュシューズです。サンダル感覚で⾮常に履きやすいうえに、⿊のメッシュだからこそ上品で重くなりすぎないところをとても気に⼊っています。最近はあまりソックスに差し⾊を⽤いることは少ないのですが、デニムとトーンが近いからから靴が中性的だからか、Tabio MEN のややビビットな⾊のリブレギュラーソックスを合わせてもしっくりきました。


3.「adidas SPEZIAL のスニーカー」

3 ⾜⽬はスニーカー、アディダスのスペツィアルです。昔は⾊々なスニーカーを履いていましたが、今は⾰靴やサンダルを選ぶことが多いため、スニーカーでも主張しすぎないシンプルでミニマルなデザイン、そして綺麗なカラーバランスのものを選ぶことが多いです。

ヘア、洋服、靴、そしてソックス。⾝だしなみにセンスと遊び⼼を巡らせる並⽊さん。彼の品とユーモラスなキャラクターがそのままスタイルにも投影されており、多くの⼈を惹きつける魅⼒を再認識させられた。