タカママの愛称でSNSを中⼼に多⽅⾯で活躍する⾼橋宏樹さん。発信される彼独⾃のファッション観や視点、装いには多くのファンが存在し、トレンドセッターとして⽇々注⽬を集める。ブレないスタイルとは裏腹に、丁寧に⾔葉を紡ぐ柔和な雰囲気。そんな⼈としての姿勢から彼のスタイルの本質を伺い知ることができた。

▪確かな審美眼によって選ばれる名脇役
-今回、⼩物や繊細なディテールにまで美意識を持って装う⽅のお話を伺うことで、靴下選びのヒントも得られるのではないかというところから、⾼橋さんにお声がけさせて頂きました。
⾼橋:ありがとうございます。光栄です(笑)

-早速ですが、⾼橋さんは⽇々洋服だけでなく⼩物や装飾品などにも強いこだわりがあるようにお⾒受けします。その中でも特に最近気に⼊ってらっしゃるアイテムをお持ちいただきました。まずは⾼橋さんのアイコンとも⾔えるアイウェアからお願いします。
高橋:これは去年末か今年頭くらいに購⼊したkuboraumのものです。服装がシンプルな分、顔周りには少しエッジの効いた⾶び道具的な要素を求めてしまう傾向がありまして。僕の好きな背景を持つドイツのブランドのもので、なんといってもこのビジュアルに⼀⽬惚れしました。⽇本国内では取り扱いが少ないため、海外通販で⼿に⼊れたので試着もせずに購⼊しました。メガネはたくさん持っていますが、さらに⼀段上の刺激というか、スタイルに強いスパイスが欲しい今の気分にぴったりハマっています。

-洗練された装いにアクの強いアイテムを差し込む感覚がなんとも⾼橋さんらしいです。続いては、フレグランスですね。
⾼橋:⼀番最近買ったのが、このMAD et LENのテレノアという⾹りの⾹⽔です。これは本当に気に⼊っていて、⾹りの輪郭がハッキリしていて第⼀印象は濃く感じるのですが、肌に馴染むと変に残らず、重すぎないのが⽇常使いしやすくて惹かれました。もう⼀⽅のCOMME des GARÇONSは、世界の都市をイメージしたシリーズのKYOTOという⾹りで、お⾹を連想させるようなオリエンタルな⾹りが特徴です。
-⾹⽔はどのように使い分けているのでしょうか。
高橋:香水は季節によってガラリと変えることが多く、たとえば初夏のようなスカッとした時期には植物の茎を思わせるようなグリーン系の⾹りをまといたくなります。また、TPOへの配慮も⼤切にしていて、⾷事に⾏く際は、⾹りが⾶びやすいものを選ぶか、かなり薄めにつけるように徹底しています。

-シーンによって⾹りを選んだり、⾹⽔をつける量を調整するといった気配りは⾃⾝の表現だけでなく相⼿を意識したものでもあるということですね。3つ⽬は、置き姿からすでに存在感を放っているベルトのご紹介をお願いします。
⾼橋:ここ最近⾒たベルトの中でもかなり衝撃的だったプロダクトで、名古屋のセレクトショップで購⼊した、KINGSLEY WALTERS STUDIOというブランドのもの。様々なデザインの展開があるブランドですが、極厚のサドルレザーと重厚感のあるバックルに惹かれました。最初はスタッズ付きのものを探していたのですが、まずは使い回しの効くこちらのモデルを選びました。といっても⼗分に強いデザインですが(笑)ベルト選びにおいて機能性は⼆の次で、完全にアクセサリー感覚としての魅⼒を⼤事にしています。⾝につけたときの瞬間⾵速(インパクト)と、スタイリングとしてカッコいいかどうかだけで選んでいます。

▪ベーシックの中に宿るマイルールと気配り
-kuboraumのアイウェアにも通ずるギアとしてではなく純粋なるファッションアイテムとしてのチョイスですね。ここからはスタイリングについてお伺いします。今⽇は2コーデ披露頂きましたが、1コーデ⽬は爽やかなシャツが印象的です。
⾼橋:どちらのスタイリングにも共通して⾔えるのは、基本的に「清潔感」や「品」を強烈に意識しているということです。1体⽬のストライプシャツを使ったコーディネートは、特に清潔感を強めに出しています。僕の中には昔から「新品のものに古着(ヴィンテージ)を合わせる」というざっくりとしたマイルールがあって。今回下に合わせたのは、1960年代頃のラングラーのコットンパンツです。⼀⾒普通のパンツですが、前の持ち主がセンタークリースをきっちりつけて穿いていたようで、そういった⼀点もの感や味のあるクリーンな古着を、新品の綺麗なアイテムと合わせるバランスが最近の気分ですね。⾜元には最近⼿に⼊れた仕⽴てのいい THE ROW のローファーを合わせ、年齢相応の⼤⼈の品と落ち着きを意識しました。

-ストライプシャツ、⿊のパンツ、ローファーという王道のベーシックですが、⾼橋さんならではのこなしの秘訣を教えてください。
高橋:まず、このシャツ⾃体にユニークなディテールがあります。共地で作られたリボンが付属していて、これを取り外したり、ただ結んだりもできる。どう着るかはその⽇の気分によって⾃由です。今⽇はちょっと結んで⾸元にアクセントをつけてみました。
-同素材の紐なので、ジュエリーのような強い主張になりすぎず、⼤⼈のスタイリングとして嫌味なく馴染んでいて素敵です。
高橋:もう⼀つのポイントはベルトの⾒せ⽅とレングスですね。普段からタックインすることが多いのですが、せっかくならお気に⼊りのベルトを⾒せたい。ただ、この時期にシャツを完全にタックインすると少し暑苦しく⾒えてしまうので、⼀番上のボタンだけを留めて、あとはフロントを開けて流せばいいんじゃないかと思ったんです。結果として、綺麗なAラインのシルエットが⽣まれ、ベルトも程よく覗くバランスにまとめられました。

-パンツの丈感とTHE ROWのローファーのバランスも絶妙です。
高橋:実は、ローファーを穿くときは普段デニムばかりなんです。今回のように⿊いパンツを合わせるのは⾃分の中でかなり新鮮なチャレンジでした。このパンツが少しフレアがかっていて、かつアンクル丈くらいのレングスだったので、ソックスを覗かせるのにも、ローファーの全体像を綺麗に⾒せるのにもちょうどいい⻑さだったんです。試してみたら想像以上にハマりましたね。レングスのバランスにはかなりこだわっています。
-合わせていらっしゃるスーピマコットン無地ロングホーズは、だいぶ前からご愛⽤頂いていますよね。
高橋:ローファーに凹凸のないプレーンなソックスを合わせるスタイルといえば、マイケル・ジャクソンなんです。彼はローファーに、リブのないソックスを合わせて穿いていましたよね。あのイメージが僕の中にずっとあって、⾃分なりの解釈で今回の⾜元に落とし込みました。プレーンな表情だからこそ、逆に癖がなくていい。その「無表情さ」を逆⼿に取れるのが魅⼒だと思っています。ドレス感も強すぎず、かといってスポーツソックスのようなカジュアルさもない。究極にニュートラルな存在なんです。だからこそスタイリングの⼟台として組み⽴てやすいし、極端な話をすれば、何も考えずに合わせても勝⼿にコーディネートを格上げしてくれる。「これを買っておけば間違いない」という優秀なソックスです。

▪靴下の“合わせ⽅”にとどまらない“履き⽅”の妙
-2コーデ⽬は打って変わって、適度なラフさが新鮮に感じます。
高橋:1体⽬とのギャップをしっかりと作りたかったんです。イメージとしては近所をふらっと歩けるくらいの適当なスタイル。ただ、これはぶっきらぼうな意味での適当ではなく、その場に適したという意味での適当です。僕の住んでいる地域は、アパレル関係者や美容師、クリエイティブ界隈の⼈が多くて、油断できないエリアなんです(笑)。それに、僕⾃⾝の性格としてスウェット上下のような格好で外に出ることがどうしてもできなくて。オン・オフで⾔うなら明確なオフの提案ですが、だらしなく⾒えない⼤⼈の脱⼒感を意識しました。

-⾜元のソックスの弛ませ⽅にこだわりを感じました。
高橋:そこがこのスタイリングの肝ですね。1体⽬ではロングホーズをピシッと綺麗に穿く⼼地よさを表現しましたが、2体⽬ではあえて少しルーズに⾒せたいなと。普段あまりショーツは穿かないのですが、企画としてのバリエーションや⾃分の着こなしの幅を広げるために挑戦しました。ここで合わせたリッチェル編みのソックスは、ルーズソックスのような緩さがあるアイテムです。⼤きめのナイロンスニーカーのシューレースをぎゅっと縛ることでアッパーが寄るんですよ。そのラフさとたわんだソックスがマッチしているなと感じています。
-2コーデどちらともTシャツをタックインされていますね。
高橋:僕は1年中、街を歩くときはほぼ100%タックアウトをしません。裾を出していると気持ちが引き締まらないというのもありますし、冒頭でも紹介したようにベルトが好きなのでお気に⼊りのものをちゃんと⾒せたいという気持ちもあります。

▪スタイルに紐づく人としてのセンス
-綿密に計算されつつも遊び⼼を持った⼤⼈の余裕を感じさせるスタイリングのようにお⾒受けしました。そして、⾼橋さんからは表⾯的な装いだけでなく⽴ち振る舞いや⾔動など内⾯的な部分からも⼤⼈の余裕といいますか、⼈柄の誠実さ柔らかさみたいなものも感じます。
高橋:どうなんでしょう(笑)ただ、社会⼈になって様々な⼈と出会う機会が多くなったことが⼤きいかもしれません。中には反⾯教師にすべきような⼈も当然いましたが、同時にとてもリスペクトできる⼈々にも数多く出会うことができました。彼らのスマートな所作や気遣いに⼤⼈の理想像を⾒つけ、憧れを抱けたことは⼤きな学びでした。
-人と接する中で意識している事はありますか?
高橋:なるべくフラットなスタンスで接することを⼼がけてはいます。勝⼿なイメージなどでマイナスからスタートすると、プラス要素があったとしても加点になりづらいじゃないですか。その点、フラットなところからスタートすればプラスな要素があった時の加点幅が⼤きくなるので⾃分も嬉しくなるんです。
-高橋さんのお話を聞いていると、センスは内面から滲み出るもののようなことを指すのではないかとつくづく考えさせられます。
高橋:⼈とたくさん出会って様々な価値観に触れ、そして同時に⼀⼈でいる時間も恐れることなく⾃⾝の頭の整理に費やす。そういった⽇々の営みを⼤事にしながら僕もセンスの良い理想の⼤⼈に近づいていけたらと思っています。