タビオでのみ再現可能な変態的工程
創業者である会長が生涯愛したドレスソックス——。その裏側には、タビオにしか再現できない“変態的”ともいえる工程が存在する。本来ハイゲージ機でしか出せない繊細な光沢と密度を、あえてミドルゲージで再現するという無謀な挑戦。試作と調整を繰り返し、編み機が理想の生地を吐き出すまでに、実に10年近い歳月が費やされた。80番手という極細の綿糸を2本取りにすることで、薄すぎず、しかし軽やかで上品な生地感を実現。足を入れた瞬間にわかる“きめ細かななめらかさ”と“しっとりとした光沢”は、他のミドルゲージでは到底出せない。さらに、ナイロンを表糸と裏糸の間に挟み込む“サンドイッチ構造”。柔らかさ・伸縮性・型崩れのしにくさを絶妙にコントロールし、裏返しても不良にならないほど精密なつくりになっている。見た目はシンプル。だが、その裏側には、狂気さえ感じる執念と技術が宿っている。
履く人を虜にする究極の履き心地
この靴下は、タビオ社内で“92”シリーズとして15年以上続くロングセラーモデル。ビジネスソックスの最高峰と呼ばれ、長年指名買いを続けるファンが多いのも頷ける。足に吸い付くような滑らかさ。
革靴の中でごろつかない薄さなのに、必要な厚みはしっかり確保された安心感。ロングホーズならふくらはぎまで美しくフィットし、レギュラー丈ならビジネスでもカジュアルでも上品に馴染む。シンプルで目立たないのに、“違い”は確実にわかる。生地の密度がつくる光沢、足裏に吸い付くようなフィット、長い時間履いても型崩れしない安定感——。
どれもが、変態的工程の積み重ねから生まれた“完成形”の証。派手ではない。しかし、一度履けば離れがたい。そんな静かな高揚感を与えてくれるのが、この92シリーズである。