クラシカルで上品なゆるさを
古い編み機を受け継ぐ靴下工場との協業で復刻させた「リッチェル編み」。
かつてルーズソックスに使われていた独特の編みを再構築し、“締めつけすぎない快適さ”を現代の感性で再解釈した一足。
ルーズな部分とフィットが求められるボディ。その境目となる、履き口と足首のあいだで編地を切り替えるという特殊な構造が、柔らかくもだらしなくならないフォルムを生み出す。通常のローゲージソックスでは太番手の糸を用いるが、この靴下は本来は高級ドレスソックスで使用される超長綿の60番手と呼ばれる細い綿糸を多本取りで編み上げている。あえて細番手糸を使うことでローゲージながらも、ぬめりを感じるほどのなめらかな肌ざわりと、きめ細やかな上品な光沢感を醸している。「ローゲージソックス=カジュアル」という定説を軽やかに超えた、「大人の男のための上品なルーズソックス」。懐かしげに見えるルックスの中にモダンが息づく、その独特のバランスが「リッチェル」の真骨頂である。
希少な編み機と職人技術の結晶
リッチェルを編み立てるのは、いまや国内でも数台しか稼働していない希少な編み機。
あえて細番手の糸を7本も同時に走らせるため、テンション調整はわずかなズレも許されない。
そのため職人は生産効率を求めず、時間をかけて丁寧に一足ごとに糸の張力を微調整し、均一で美しい編み目に整えながら編んでいく。
スピードよりも美しさを優先する。その選択の積み重ねが、この「ゆるさ」を支えている。より良質な靴下を追い求める熱意が、クラフトマンシップの証としてこの一足に刻まれている。